2022年6月のNature誌で、タイの科学者らは猫がSARS-CoV-2を獣医に感染させたこと明らかにしました。しかし、このような感染例はまれです。
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猫から人へコロナ感染した最初の報告例
最初はくしゃみをするハムスターがいましたが、今ではくしゃみをする猫がいます。タイの科学者らは、猫がSARS-CoV-2に感染したという確かな証拠を初めて報告しました。これにより、ウイルスを人に感染させる可能性のある動物として猫が含まれたことになります。
パンデミックの規模、動物種間を飛び越えるウイルスの能力、猫と人との密接な接触を考えると、猫と人間の間に感染の可能性があることを立証するまで、発生以来ここまで長い時間がかかったことに研究者らは驚いています。「2年間、猫と人間の間に感染の可能性がることは知っていました。」と、フォートコリンズにあるコロラド州立大学の感染症研究者であるAngelaBosco-Lauth氏は言います。
パンデミック初期の研究で、猫は感染性ウイルスを放出することで、他の猫に感染する可能性が知られていました。そしてパンデミック禍で、各国は数十匹のペット猫でSARS-CoV-2感染を報告しています。しかし、ウイルス感染の方向が、猫から人なのか、または人から猫へなのかの確認が必要でした。タイの研究者らの研究は「興味深い症例報告であり、優れたコンタクトトレーシング(接触歴追跡)ができた素晴らしい症例です。」と、オランダのロッテルダムにあるエラスムス大学医療センターのウイルス学者Marion Koopmans氏は述べています。
6月6日に新興感染症が発表されたネコの発見は偶然に起こったものだと、タイ南部のハジャイにあるソンクラー大学の感染症研究者兼医師である共著者サルニョウ・チュスリ氏は述べています。8月、SARS-CoV-2の検査で陽性となった父と息子が、大学病院の隔離病棟に移送されました。彼らの10歳の猫も拭き取られ、検査で陽性でした。綿棒で拭かれている間、猫は、マスクと手袋を着用しているが目に保護具を着用していない獣医の顔にくしゃみをしました。
3日後に、獣医は発熱、嗅ぎタバコ、咳を発症し、その後SARS-CoV-2の検査で陽性となりましたが、彼女との密接な接触者らはいずれもCOVID-19を発症はしていませんでした。これは猫から感染していたことを示唆しています。遺伝子解析により、獣医は猫とその飼い主と同じ変異体に感染しており、ウイルスのゲノム配列は同一であることも確認されました。
猫から人間への感染はまれだと研究者らは考えています。研究によれば「感染した猫はウイルスをあまり放出せず、仮にあっても数日間程度で収まるようです。」と香港大学のウイルス学者 Leo Poon氏は言います。
それでも、Chusri氏は、感染が疑われる猫を扱うときは、特別な注意を払う必要があると言います。人々は「猫を捨てるべきではありませんが、もっと世話をするべきです」と続けて彼は述べています。
人々から感染の疑いがある他の動物として、ヨーロッパと北アメリカの養殖ミンク、香港のペットハムスター、カナダの野生のオジロジカが含まれます。更に猫をリストに追加することで、「ウイルスの人獣共通感染症の可能性についての理解が更に深まるでしょう」とPoon氏は言います。
実際これはまれな出来事であり、動物はまだウイルスの拡散に重要な役割を果たしていないと述べています。「人間は明らかに依然としてウイルスの主要な発生源です」とBosco-Lauth氏は言います。
本記事は下記を参照
doi: https://doi.org/10.1038/d41586-022-01792-y
- SARS-CoV-2:N501Y変異を有する新型コロナウイルス変異株のこと